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集合写真の撮り方
Created Date
2023-12-06
Modified Date
2023-12-06
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集合写真の撮り方

イベントで撮影する機会の多い集合写真。カメラマンがサクッと撮影する印象がありますが、スムーズに撮影をするためには様々な「撮り方」が決まっています。

実際にどのような方法で集合写真が撮影されているか、集合写真撮影のテクニックを紹介します。

集合写真での並び方

3〜10名程度の場合

少人数の撮影の場合、場所に余裕があれば横一列で撮影することをおすすめしています。横一列で撮影することで、全員をきれいに映すことができ、背景をぼかしやすくなります。

撮影する場所の広さの関係で、横一列になることができない場合には、例えば被写体の方に斜め45度(半身)で詰めてもらうことで、よりコンパクトに並ぶことができます。

10〜40名程度の場合

1列で入り切らない人数の場合には、2列、3列となってもらうと良いでしょう。

1列目、2列目、3列目と並ぶ場合、列同士の距離が離れていればいるほど(また、カメラマンと被写体の距離が近ければ近いほど)サイズ感がズレてしまったり(手前の人が大きく写って、後ろの人が小さく写る)、前の人に被ってしまってきれいに顔が出ない場合があります。

集合写真を撮影する場合には、できるだけギュッと詰めてもらい、前列の顔と顔の間から、自身の買いを出してもらうようにし、それでもカメラマン側から見て顔が見えていない人がいた場合には個別に指示を出して、移動する必要があります。

また、一列あたりの人数は10名程度をおすすめします。横一列になる人数が多い場合、大きな余白ができてしまって、被写体が小さく写ってしまう場合があります。

集合写真は何列に収めるべきですか

「必ずこの列数に収めなければいけない」といった決まりはありません。

それぞれの方の顔がはっきりと写すことができる一般的な集合写真だと、1列10名程度とした場合、3〜4列(30〜40名)が限界です。これ以上に列が増えた場合、最前列の方と最後列の写りの差(大きさ)が違ってしまったり、最後列の方の顔ががとても小さくなってしまいます。

とはいえ、それ以上の集合写真を撮影しないというわけではなく、とにかく人数がたくさんいる雰囲気を収めるという目的であれば、数百人以上での撮影を行うこともあります。

数百名規模の場合

撮影する人数が多く、一列ずつ列を作ることができない場合には、大きな脚立や建物の上に登り、見下ろす形で撮影をします。

対象人数が多い場合、事前に下見(ロケハン)をして、「ここからここのエリア内に入ってもらう」といったように、立ち位置の目安を事前に決めておくことで撮影がスムーズに進みます。

企業の重役の方など、立ち位置が決まっている人がいる場合には、その方の立ち位置のみ明確に事前に決めておき、その後は事前に決めておいた「撮影エリア」の中に入ってもらうという形がよりスムーズです。

撮影エリアに全員が入った後、左右のバランスなどを見てカメラマンが立ち位置の修正の指示を出して撮影に進みます。

脚立を準備する方法は

集合写真用の撮影でよく使用するのは、6尺(6段)程度の脚立となります。ホテルの宴会場など行ったイベント会場の場合、お願いすれば多くの場合借りることができますので、事前にホテルや会場の担当の方に相談すると良いでしょう。

集合写真を撮影する場合のカメラの設定

撮影モードは「絞り優先(Av)」か「マニュアル(M)」で撮影する

集合写真では被写体の顔をはっきり写すことが求められます。

並び方によって背景のボケ具合(ピントの合う範囲)を設定する絞り値(F値)を設定しましょう。

F値は値が小さいほどピントの合う範囲が狭く、より背景がぼけやすくなり、人数が多い撮影など奥まではっきり写す必要がある場合には、F値を大きくします。これを「絞り込む」といいます。

一眼レフやミラーレスカメラなど撮影モードを選ぶことができるカメラであれば、絞り優先モードかマニュアルモードで、F値をコントロールしながら撮影することをおすすめします。

集合写真の撮影時の絞り値の例は以下のとおりです。

  • 横一列での撮影の場合、F2.8以上
  • 2列の撮影F5.6以上
  • 3列以上の撮影はF8以上

使用するレンズや状況などによっても変動することがありますので、テストカットをした後に本番撮影をすることをおすすめします。また、横一列の場合絞り値を開放(最小値)に近づけすぎると横一列とはいえ、ピントが全員に合わない場合があります。

これは、横一列になっているとはいえ、数センチ〜数十センチ立ち位置が前後していることで起きるミスです。背景をぼかしつつも一列の集合写真を撮影したい場合には、被写体の方のつま先の位置を全員揃えることに注意しましょう。

ISO感度はノイズが目立たない範囲で

暗い室内で集合写真を撮影する場合、ISO感度をISO3200など高感度で撮影する場合があります。

ただし、撮影するカメラのスペックにもよりますが、ISO感度を上げすぎてしまうとノイズが目立ってしまうので、その場合にはストロボで光を足して撮影することをおすすめします。

集合写真撮影時におすすめの機材

三脚

特にフォーマルな集合写真の撮影時などにおすすめします。

一度画角を決めることで、すべて同じ画角で撮影することができます。カメラを固定することができるので、ファインダーを覗いたり背面液晶を見ることなく、被写体に声がけをしながら撮影できます。

ただし、イベントの最後に撮影する集合写真など、スピード感が求められたり脚立の上から撮影するような場合、三脚を使用することは現実的ではないので、手持ちでの撮影をお勧めします。(三脚をセッティングしたり画角を再調整するには時間がかかり、結果としてイベント全体の時間を押してしまう場合があります)

ストロボ(フラッシュ)を使う

フラッシュを使用する理由としては主に3つあります。

  • 被写体に当たる光を追加することで、影になることなく顔をはっきり映すことができる
  • 光量を追加することによりより絞って(ピントの合う範囲を広げて)撮影することができる
  • 被写体の方に「撮られた」ということを認識してもらうため

カメラが高スペック・高機能となった最近では、ストロボを焚かなくてもきれいにかつ、ある程度絞って撮影することができるようになりました。

そのため実際には、被写体の方に「撮られた」ということを認識してもらうためにストロボを使用するケースが多いです。写真撮影においてコミュニケーションはとても大切です。

屋外でも屋内でも関係なく、(写りにほとんど影響しない)最小値の光量でストロボを発光しながら、声がけをすることでリズムよく集合写真を撮影することができます。

50mm以上のレンズを使って、被写体からできるだけ距離を取る

集合写真の撮影は、できるだけ望遠気味のレンズを使い、被写体の方と距離を取ることをお勧めします。広角〜標準域のレンズを使用してしまうと、歪んでしまったり、最前列と最後列の方の写り方(サイズ感)が変わってしまいます。

いざ!集合写真撮影時のテクニック

今まではすべて準備の説明でした。次に、実際にシャッターを押す場面のテクニックです。

連射する

集合写真でのチャンスは一瞬です。また瞬きをしたりよそ見をしたり、写る人数が多いほどそのようなことが起きてしまいます。その上、何度もシャッターを押すと被写体の方の表情が退屈そうになってしまいます。だからこそ、撮影時には一枚ずつではなく、連射で多く撮影することをおすすめします。

撮影場所に被写体が移動している最中に、明るさや絞り地は適切かなどを確認するテストカットを撮影し、整列し終わった直後、1回目の撮影を行います。この際、1〜2枚ではなく連写モードにして複数枚撮影することをおすすめします。

1カット目を連射で撮影した後、被写体の方に「もう少し笑顔で!」や「顔が硬いです!」と”明るく”声がけをするとたいてい笑ってくれるので、そのタイミングで連射をして、撮影終了です。言わずもがな最後のカットがメインとなります。

カメラマンがたくさんいて目線がバラけてしまう場合は?

イベントなど大人数が参加する場合、沢山の人が集合写真を撮ろうと集まる場合があります。もしあなたがイベントの主催者から依頼を受けたメインカメラマンなのであれば、大きな声で「公式記録のカメラマンです。目線をください」と声がけをして、撮影しましょう。これは被写体の方の他、カメラマン側でカメラを構えている方にも「今は声がけしないでほしい」といった意味も込めています。

誰がメインのカメラマンかがわからない状態で、集合写真を撮影すると目線がバラバラになってしまいます。

集合写真の撮影が終了したら、他のカメラを持っている方に目線を振るように促し、撮影終了となります。

時間をかけすぎないことが大切

集合写真の撮影は、時間をかけすぎずテキパキすることが大切です。

事前の設定などにまごついてしまい、被写体を待たせてしまうと、それだけで笑顔が減ってしまいます。被写体が移動をしているタイミングで、カメラの設定は完了しておき、並びきった段階でシャッターを押すだけとなれば、流れ良いです。

本番のシャッターを押し始めてから撮影終了までは、2回撮影し、30秒程度が目安です。多くても3回程度連射をして撮影するというのが限界でしょう。

集合写真に不安がある場合・大切な集合写真の場合、プロカメラマンへの依頼も検討されると良いでしょう。

私が記事を書きました

Hiroki YAMAMOTO

株式会社デルタクリエイティブ代表 /カメラマン
独学でカメラを始め、学生時代から報道写真を中心にカメラマンとして活動。雑誌・WEB媒体の写真部を経て、2011年からフリーランス。TOTTAの開発と運営を手掛ける。広島出身。
撮影依頼はこちらから(写真事務所deltaphoto)
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